なぜ韓国男子は日本人女性と結婚したいのか?急増する日韓カップルのリアル
ブームの裏側に何がある? 甘い蜜か、それとも苦い現実か
Special Report 2026 / 国際結婚の現場から
2024年、韓国人男性と日本人女性の婚姻件数が1176組に達した。前年比40パーセント増、過去10年で最多。さらに2025年も26パーセント増の1483件と増加が続いている。日本の婚活市場に、韓国男子がなだれ込んでいる。彼らはいったい何を求めているのか。そして「うまくいっている」のか。現場のリアルに迫る。
1,483 2025年
日韓婚姻件数(組)
+40% 2024年
前年比増加率
8,000件超 大手相談所への
韓国人男性申込数
まず数字を見る——これは本物の社会現象だ

AI画像です
韓国統計庁が2025年3月に発表した「2024年婚姻・離婚統計」が、日韓両国のメディアで一斉に取り上げられた。韓国人男性と日本人女性の婚姻件数は1176組で、2015年以来の最多。しかもそれは外国人女性との結婚全体の伸び(6.2パーセント増)をはるかに上回る急増ぶりだった。
ニッセイ基礎研究所の分析によれば、この数字は日韓関係の冷え込みと温まりに敏感に反応してきた。文在寅政権下の2019年には日本人女性との婚姻が前年比9.3パーセント減となった一方、日韓関係が改善された時期には急増した。つまりこの婚姻急増は、偶然でも一時的なブームでもなく、政治・文化・経済が交差する構造的な変化だということだ。
さらに驚くのは婚活市場の過熱ぶりである。大手結婚相談所の中には、韓国人男性からの申し込みが8000件を超えるケースも出ており、TBSの報道では「結婚相手が見つかるまで何回も来日する」男性の姿が映し出された。婚活費用は100万円単位に上るにもかかわらず、だ。
なぜ韓国男子は日本人女性を選ぶのか
① 韓国の結婚コストが「詰んでいる」
韓国では長らく、男性が結婚する際に「住宅を用意する」という文化的プレッシャーが根強い。ソウルのマンション価格は平均的なサラリーマンの十数年分の収入に相当することも珍しくなく、「家を買わないと嫁が来ない」という現実が若い男性たちを追い詰めている。
福岡の結婚相談所「U&C」に実際に成婚した韓国人男性はこう打ち明けた。
韓国の女性は、ある程度の財産がないと結婚してくれない。2〜3年で離婚してその財産の半分をもらう、という話もある。男性にとって韓国での婚活は本当に厳しい状況だ
——福岡市の結婚相談所「U&C」で成婚退会した韓国人男性(30代)
一方、日本人女性との結婚なら「住宅を夫婦で一緒に考えられる」「共働きが自然に受け入れられる」という経済的ハードルの低さが大きな魅力となっている。韓国の伝統的な結婚観から解放されたい男性たちにとって、日本は「逃げ場」でもあり「新天地」でもあるのだ。
② 韓国の女性をめぐる「男女関係の変化」
韓国では近年、若い女性を中心にフェミニズム運動が急速に広がり、男性側が感じる「交際・結婚のハードル」は著しく高まっている、という声が男性側から上がっている。こうした社会的な男女関係の緊張を避けたいという動機も、日本志向の背景にある。
日本在住20年の在韓ライター、立花志音氏は「韓国男性の中に、社会的な階層を意識しながら日本人女性を選ぶ層がいる」と指摘する。日本に渡ること自体が一種のステータスであり、日本人の妻を持つことで経済的にも社会的にも「上昇」できると考える男性が存在するというのだ。当然これは批判的な見方だが、婚活市場の実態を知る専門家たちも「動機が複合的」であることには同意している。
③ 文化的親近感——アニメと韓流が橋をかけた
釜山市の会社員、任宰佑(イム・ジェウ)さん(31)は昨年、日本人女性と結婚した。「幼い頃から日本のアニメに触れてきたので、心理的な近さを感じた」と語る。食文化や生活習慣の近さ、漢字語彙を共有している言語的親和性も大きい。欧米人と結婚するよりずっとハードルが低い、というのが韓国人男性の多くが口にする感覚だ。
日本側からも、K-POPや韓国ドラマで育った世代が「韓国男性への好感」を持ちやすくなっている。2025年7月時点で、東京・大阪だけで月50件を超える日韓マッチングイベントが告知されており、募集開始10分で満席になるケースも珍しくないという。
④ 日本人女性の「穏やかさ」への憧れ
「最後に残ったおかずを『食べていいの?』と尋ねてくれる心遣い。取るに足りない悩みも一緒に考えてくれる姿に思慮深さと主体性を感じた」——任さんは日本人の妻の「思いやり」に惹かれたと語る。
複数の韓国人男性が口にするのが、日本人女性の「穏やかさ」「気遣いの細やかさ」「感情をぶつけてこない落ち着き」への好印象だ。もちろんこれはステレオタイプであり、個人差が大きい。だが文化的に「遠慮」や「察する文化」が重視される日本人女性のコミュニケーションスタイルが、激しい男女の葛藤に疲れた韓国男性には「楽」に映ることは否定できない。
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国際結婚相談所の本音——「増えているのは確か、でも…」
福岡の結婚相談所「U&C」では、国内最大手グループIBJへの韓国人男性の入会が「半端ない」レベルで増えていると報告している。実際に韓国人男性が佐賀県の女性と成婚退会した事例も出た。
しかし、婚活業界の内部からは慎重な声も上がっている。
「日本人女性はカモにされてますよ」という声も聞きます。動機の純粋さを見極めるのが難しい。住宅コスト問題を解決するための手段として日本人女性を選んでいる男性が一定数いるのは事実で、相談所としても審査を厳しくせざるを得ない
——国内婚活業界関係者(匿名)
一方で、「真剣に日本文化に馴染もうとしている韓国人男性も多く、偏見だけで判断すべきではない」という声も多い。職業、収入、来日経緯、日本語能力、家族観——そうした点を丁寧にヒアリングすることで、誠実なマッチングが生まれているケースもある。
ニッセイ基礎研究所は「韓国ではベビーブーム世代の子どもが結婚適齢期を迎えており、専門家は3〜4年は増加が続く」と分析している。婚活業界は、この波をビジネスチャンスとして迎えつつも、トラブルを防ぐ仕組みを模索しているのが現状だ。
「韓国人と結婚したら豹変する」という声と
「こんなに優しい人はいない」という声が
同じ現象の両面として存在している
リアルな結婚体験談——甘くない現実
体験談①「義実家との関係が地獄だった」(30代・韓国在住)
義父母が帰ってきたら出迎えなければならない。外出するたびに主人の実家に顔を出さないといけない。突然の合同外食、急な外出は当たり前。鍵の暗証番号も共有で、冷蔵庫の物がなくなっていることもある。最初は「文化の違い」と思って我慢したが、2年目には限界に達した
——2012年に韓国・釜山の男性と結婚した日本人女性(当時ブログに掲載)
これは特殊なケースではない。儒教的な家族観が根付く韓国、とりわけ地方では、嫁は「家に入る」という感覚が強く残っている。日本で結婚生活を送る場合は問題が少ないが、韓国に移住するとなると、義実家との距離感が大きな壁になる。
体験談②「結婚したら人が変わった」(さくらさん・韓国在住)
夫との出会いは韓国旅行でした。道に迷っていたら声をかけてくれた。2年の遠距離を経て結婚したのですが、入籍した途端に態度が変わった。夫のモラハラもありましたが、義理の姉(同じく日本人)のモラハラも相当ひどくて。嫁いだ先が一家全員モラハラをしていた。日本にいるときは見えなかった面が、韓国に住み始めてから次々と出てきた
——現代ビジネスの取材に応じたさくらさん(仮名・韓国在住)
恋愛中と結婚後で「人が変わる」という証言は複数存在する。韓国語の勉強をしていたさくらさんはコミュニケーションに問題はなかったが、生活環境が変わった途端に夫の別の顔が見えてきた、という。
体験談③「10年経って、ようやく「普通の夫婦」になれた」(HAZUKIさん・韓国在住)
夫は「日本人は曖昧だ」とよく言う。私が義両親にはっきりYES・NOを言うと、夫が驚くほどだった。文化的なズレは今でもある。でも10年住んで思うのは、国籍より「その人自身」の問題がほとんど、ということ。韓国人だから大変なのではなく、価値観の合わない人と一緒にいるのが大変なんです
——韓国在住3年以上のHAZUKIさん(Trip Editor掲載)
長年の結婚生活を経た女性たちに共通するのは「国籍より個人」という結論だ。だがその境地に至るまでの道のりは、決して平坦ではない。
うまくいくカップルといかないカップル——何が分岐点か
うまくいくケース
- どちらかが相手の言語をある程度習得している
- 日本に定住する(義実家から物理的に離れられる)
- 結婚前に韓国の生活・文化を十分に体験済み
- 「チェサ(祭祀)」などの慣習について事前に話し合っている
- 夫が儒教的家族観に縛られない、比較的自由な家庭環境で育った
- 経済的に安定しており、住宅問題が解決済み
危険なサインと地雷
- 韓国移住を前提とした結婚(義実家との距離が詰まる)
- 交際期間が短く、日韓の価値観の差を十分に確認していない
- 男性の動機が「経済的メリット重視」で婚活費用もケチる
- 韓国語・日本語どちらも不十分で日常会話に支障がある
- 長男(韓国社会では義務と責任が特に大きい)
- 「日本の永住権」取得だけが目的に見える
日韓カップルの離婚率という「不都合な真実」
かつてのデータでは、日本人と韓国人の国際結婚の離婚率は約5割とされていた時期もあった。これは日本人同士の離婚率(約3割)を大きく上回る。ただし近年のカップルでは、互いの文化理解が深まっているため改善が見込まれるという意見もある。
📊 専門家の見解(ニッセイ基礎研究所)
「日韓カップルの増減は日韓関係の影響を強く受けてきた。今後3〜4年は増加が続く見込み。ただし増加の要因分析には、文化的・経済的・政治的要素が複雑に絡み合っており、今後さらに詳細な研究が必要だ」
結婚件数が増えること自体は、日韓の相互理解という点でポジティブな側面もある。しかし急増のスピードが速い分、「ブームに乗った軽率な結婚」が増えるリスクも高まる。専門家たちが一様に「文化的な事前学習の重要性」を強調するのはそのためだ。
覚悟なき国際結婚は「後悔」への片道切符
在韓20年のあるライターはこう断言する。「韓国人と結婚するということは、韓国という国家とも結婚するようなものだ。チェサ(先祖祭祀)、チャレ(お盆の行事)、義実家との密着した関係——これらは個人の問題ではなく、韓国社会のシステムそのものだ」。
⚠ 国際結婚を検討中の方へ——現地在住者たちからの警告
韓国語は「ある程度は習得しておく」こと。義実家との関係、チェサ、子どもの教育方針(どちらの国で育てるか)、万が一離婚した場合の子どもの親権——これらをすべて結婚前に話し合うこと。「愛があれば何とかなる」は、国際結婚では最も危険な思い込みだ。
それでも、うまくいっているカップルは確かにいる
もちろん、日韓結婚のすべてが困難を抱えているわけではない。「大阪でのんびり日韓夫婦生活を楽しんでいる」カップル、「韓国の光州でブログを書きながら地元に溶け込んでいる妻」、「子育てを通じて二カ国語で育てることを喜んでいる家族」——SNSやブログには、幸福な日韓カップルの記録が溢れている。
日本に暮らす韓国人は2024年時点で約7.5万人に達し、4年で約8パーセント増えている。「日本で働きたい」「日本人と結婚したい」というニーズは、単なる婚活ブームを超えた、長期的な人口移動のトレンドだ。その中に生まれる結婚が、日韓両国の社会にどんな化学変化をもたらすのか——それはこれから問われる問いだ。
急増するデータの奥に、
一組ずつの「リアルな人生」がある。
ブームに流されず、自分の目で見極めることが何より大切だ。
まとめ——3つの視点で整理する
- 韓国男性が日本人女性を求める理由は複合的だ。経済的プレッシャー(住宅問題)、文化的親近感(アニメ・K-POP)、「穏やかなパートナー」への憧れ——これらが重なっている。
- 婚活市場は過熱している。大手相談所への申し込み8000件超、月50件超のマッチングイベント。業界は需要を取り込みながら、審査の厳格化も進めている。
- うまくいくかどうかは「準備と覚悟」にかかっている。言語、義実家、チェサ、居住地——これらを事前に話し合ったカップルほど、長続きしている。ブームに乗った軽率な結婚は、やはり危うい。
※本記事は韓国統計庁・ニッセイ基礎研究所・西日本新聞・集英社オンライン・JBpress・TBS NEWS DIG・各結婚相談所の公開情報および複数の当事者証言・ブログをもとに構成しています。個人の体験は一例であり、すべての韓国人男性・日本人女性のケースを代表するものではありません。
データ出典:韓国統計庁「2024年婚姻・離婚統計」、ニッセイ基礎研究所、西日本新聞、TBS NEWS DIG


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