貞操権侵害とは?既婚者の独身偽装とマッチングアプリ最新トラブル・慰謝料のポイントを解説

恋愛事件

貞操権(ていそうけん)って、ニュースで急に出てくると「なんだっけそれ?」となりやすいですよね。

最近の「婚活アプリで独身と偽った男性に賠償命令」の判決をきっかけに、

・貞操権侵害とは何か

・どこまでが貞操権侵害で、どこからが“単なる不誠実”なのか

・マッチングアプリで実際に起きている最新トラブルと対策

をまとめて解説します。

※以下はあくまで一般的な解説で、個別のケースについての法律相談ではありません。具体的なトラブルがあれば、弁護士など専門家への相談をおすすめしますね。

貞操権侵害とは?既婚者の独身偽装

ニュースになった「婚活アプリ独身偽装」判決のポイント

2025年12月、大阪地裁でこんな判決が報道されました。

* 「独身限定」をうたう婚活マッチングアプリで出会った男女

* 男性は既婚者なのに独身であるかのように振る舞い、女性と交際・性行為を重ねた

* その後、女性が既婚であることを知り、男性を提訴

* 裁判所は「女性の貞操権を侵害した」として、男性に55万円の賠償を命じた

* 一方で、女性が男性についての情報をネット配信者などに伝えた行為が名誉毀損に当たるとして、女性側にも34万円の賠償義務があると判断された、という報道内容です。

裁判所は、男性の行為について、

> 「独身かどうか」という交際・性的関係の判断に極めて重要な事実を偽り、

> 女性が“相手を選ぶ機会”を奪った

と評価したとされています。

さらに、東京地裁でも、会社員の女性がマッチングアプリで出会った男性を相手取り、約782万円の損害賠償を求め、その訴訟の判決が2025年12月8日にありました。

裁判官は「既婚者であることを意図的に隠して性行為を繰り返しており、女性の貞操権を侵害する不法行為だ」と述べ、男性に約151万円の支払いを命じました。

ここから見えてくるのが、「貞操権」という権利の考え方です。

貞操権とは何か?

1. 一言でいうと「誰と性的関係を持つかを自分で決める権利」

弁護士の解説などでは、貞操権はおおむね次のように説明されています。

性的な関係を持つ相手を、自分の意思で選ぶ権利

自分の身体・性的自由に関する、人格権の一部(=人としての尊厳に関わる権利)

民法に「貞操権」という単語がそのまま書いてあるわけではなく、

不法行為(民法709条)+精神的損害への慰謝料(710条)を根拠に、

裁判所が判決の中で認めてきた「判例上の権利」です。

男女どちらにも認められる権利ですが、実務上は

* 既婚者であることを隠された

* 「離婚して結婚する」と言われ続けたがウソだった

といったケースで女性側が原告になる事例が目立ちます。

2. 裁判所が見るポイント

貞操権侵害かどうかは、ざっくり言うと:

* 性的関係を持つかどうかにとって重要な事実について

* 相手がウソをついたり、重大なことを隠した結果

* 「その真実を知っていたら、性的関係には応じなかったであろう」と言えるかどうか

などを総合的に見て判断されます。

3. どんなケースが「貞操権侵害」にあたるのか?

弁護士サイトや判例解説を総合すると、「貞操権侵害」と認められやすい典型例はこんなイメージです。

【典型例】

① 既婚者なのに「独身」と告げて交際・性行為に至った

* 典型パターンで、今回の大阪地裁の判決もこの形

* 特に「婚活アプリ」「独身限定」などの条件がある場では、悪質と評価されやすい

②「もうすぐ離婚してあなたと結婚する」と言いながら、その気がない

* 実際には離婚するつもりもなく、“その場しのぎ”で言っていた場合

* 最高裁も、こうした虚偽の言動で女性の性的自己決定を侵害したとして慰謝料を認めた判例があります。

③ 結婚を強くにおわせて長期間交際し、妊娠・出産等があったケース

* 既婚であることを隠したまま、「将来結婚しよう」と言い続けた

* 長年の交際・妊娠・出産など、人生への影響が大きいほど慰謝料も高くなる傾向があり、500万円を命じた裁判例もあります。

④ 暴行・脅迫によって無理やり性的行為をさせた

* これはもはや「不同意性交等罪」など刑事事件にもなりうるレベルで、貞操権侵害が認められる可能性は極めて高いです。

【慰謝料の“だいたいの相場感”】

解説記事をまとめると、貞操権侵害で認められる慰謝料は

数十万円〜200万円前後

の範囲に収まることが多く、妊娠・出産の有無、交際期間、年齢、嘘の悪質さなどで上下します。

今回の55万円という金額も、妊娠・出産がなく、交際期間も極端に長期ではない事案としては、「相場の範囲内」とする専門家の見方が多いようです。

「貞操権侵害には当たらない(とされやすい)」ケース

一方で、「それはひどいけど、法的に貞操権侵害までは認められない」というケースもあります。

朝日新聞系の法律解説記事などでは、次のような例が挙げられています。

1. 性交渉・それに準じる行為がない場合

* デートや食事、キスだけで終わった

* 途中で既婚だと分かり、その時点で関係を切った

このような場合、貞操権侵害の慰謝料は難しいとされています。

(別の法的評価の余地はあっても、少なくとも典型的な貞操権侵害とは言いにくい。)

2. 嘘だと知りながら性的関係を続けた場合

* 「本当は既婚っぽいけど、まあいいか」と認識したうえで行為に及んだ

* 相手が「独身」と言っていたとしても、途中で既婚と知りながら関係を続けた

この場合、「自分の自由な意思決定が侵害された」とまでは言いにくいため、貞操権侵害は否定されることが多いと解説されています。

3. 高額の対価をもらって性的関係を持つ場合(いわゆるパパ活など)

* 金銭等の対価を得る前提で、自分の判断で性行為に応じたケース

ここでも、裁判所は「自由な意思を不当に奪われた」とは見にくいとして、貞操権侵害は否定される可能性が高いと解説されています。

マッチングアプリで増えている最新トラブル

今回の判決は「独身偽装」にスポットが当たりましたが、マッチングアプリ周りのトラブルはもっと広いです。

1. 独身偽装・ステータス詐称

* 既婚なのに「独身」「バツイチ」などと偽る

* 子どもがいるのに「子どもはいない」と言う

* 年収・職業・学歴を大幅に盛る

独身偽装は、今回のように貞操権侵害として慰謝料請求の対象になりうるレベルの問題です。

2. 投資・ビジネス勧誘型トラブル

* 恋愛関係のように接近し、仮想通貨・FX・情報商材などに誘導する

* マルチ商法や高額サロンへの勧誘

これは消費者トラブル・詐欺の問題で、消費生活センターなどが注意喚起しています。

3. 性的画像・動画の送信をめぐるトラブル(リベンジポルノ等)

* 親密になった相手に裸の写真や動画を送ったところ、別れた後に流出・拡散される

* 「送らないと別れる」などと迫るケース

これは「リベンジポルノ防止法」や各自治体の条例の対象になり得る重大な問題です。

4. SNSでの「晒し」から名誉毀損へ

今回の事件でも、女性側が男性の情報を配信者らに伝えた行為が名誉毀損と評価され、賠償を命じられたと報じられています。

* 「事実だから書いてもいい」は危険な考え方

* 実名や勤務先が特定できる形で晒せば、こちらが加害者側になるリスクもあります。

5. 利用者ができる「自衛策」と、被害にあったときの動き方

利用者側ができるチェックポイント

アプリや相手を100%信用するのではなく、ざっくりこんな点に目を光らせるとリスク軽減になります。

行動パターン

* 土日・夜にまったく会えない/電話できない

* 家や家族の話になると、極端に話題をそらす

プロフィールとの整合性

* 年収・勤務先・学歴の話に一貫性があるか

* SNSアカウントと話が矛盾していないか

結婚の話の“軽さ”

* 会ってすぐ「結婚したい」「子どもが欲しい」と連呼する

* 具体的な生活や将来の話を避け、ロマンチックなセリフばかり

違和感が積み重なっているのに、

> 「婚活アプリだし、まさか既婚者は入ってこないだろう」

と自分を説得してしまうと、後のダメージが大きくなりやすいです。

「もしかして騙されていたかも」と思ったら

① 感情的になる前に、まず証拠を残す

* マッチングアプリ内のメッセージ

* LINE・通話履歴のスクショ

* プロフィール画面(独身表示、結婚へのスタンス)

* 一緒に行った店・ホテルのレシートや写真

削除される前に、淡々と保存しておくことが大事です。

② アプリ運営に通報する

* 「独身限定なのに既婚だった」「規約違反」として、運営会社に報告

* ただし、アカウント停止などはあくまで運営判断であり、慰謝料とは別問題です。

③ 専門家(弁護士・法テラスなど)に相談

* 「慰謝料を請求できるレベルなのか」

* 「裁判までするメリットがあるのか」

などを、一度第三者に冷静に見てもらうと判断しやすくなります。

④ SNSでの“晒し”はぐっと我慢

* 相手がどれだけひどくても、実名や会社が分かる形で晒すと、自分が名誉毀損で訴えられるリスクがあります

* 信頼できる友人か、専門家にだけ話すのが安全です。

まとめ:貞操権は「古い言葉」ではなく、今も生きている権利

貞操権は「誰と性的関係を持つか、自分で選ぶ権利」であり、その自由をウソや隠しごとで奪えば、損害賠償の対象になり得ます。ただし、すべての裏切りや不誠実が貞操権侵害になるわけではない。

  → 性交渉の有無、嘘の内容・悪質性、交際期間、人生への影響などが総合的に見られます。

婚活・マッチングアプリは、出会いの場として定着した一方で、 独身偽装・投資詐欺・リベンジポルノ・SNS晒し等、現代的なトラブルの温床にもなりつつあります。

「相手の人生を尊重する」「嘘をついて関係を作らない」という基本を守ることはもちろん、

利用者としても、

* アプリ任せにしない自己防衛

* 変だと思ったら早めに距離を取る

* 被害にあったら証拠を残し、専門家に相談する

といった動きを意識しておくと、いざというときのダメージをかなり減らせます。

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