中村仁美『妻脳vs.夫脳』レビュー「昭和夫」大竹一樹との結婚生活が教えてくれる、夫婦の正解

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皆さん、こんにちは!

本日は本の紹介です。恋愛系の本はたくさん出回っていますが、フリーアナウンサーの中村仁美さんが夫との人気エッセイを一冊にまとめたもの。

妻脳、夫脳という表現がちょっと響きますね。いったいどんな内容か、取り上げました。

「昭和夫」と「男前妻」——中村仁美『妻脳vs.夫脳 年上夫のあるある観察記』

結婚生活というのは、当事者にしかわからないことだらけです。どんなに仲のよさそうなカップルに見えても、家の中には外からは見えないドラマがある。そのことを、笑いとともに教えてくれる一冊が登場しました。

元フジテレビアナウンサーでフリーアナウンサーの中村仁美さんによる初書籍、『妻脳vs.夫脳 年上夫のあるある観察記』(光文社、1760円)です。ファッション&ライフスタイル誌『STORY』で2021年から連載を開始した人気エッセイが、ついに一冊の本にまとまりました。

「昭和夫」と「男前妻」、真逆な二人の15年

中村さんの夫は、お笑いコンビ・さまぁ~ずの大竹一樹さん。中村さんより年上の、いわゆる「昭和世代」の男性です。世代的に家のことは妻に任せておきたい”昭和夫”と、「家は休憩するところじゃない!」と言い放つ”男前妻”の日常が生み出すリアルエピソードが、この本にはぎっしり詰まっています。

家事負担はほぼ妻が8割という大竹家では、夫・大竹さんについて「本来なら家では何もしたくない」「妻に”できる”と思われたくない」という”夫脳”の実態がコミカルにつづられています。挙げ句、大竹さん本人が「私が”THE・でくの坊”です」と開き直るほどです。

それでも中村さんは怒りつつ笑い飛ばします。その語り口が、この本の最大の魅力です。夫の”迷言”や珍行動を、怨念ではなくユーモアとして昇華している。だから読んでいて、不思議とスカッとするのです。

たとえば、こんなエピソードがあります。家族でイタリアンレストランを訪れ、目当てのピザがなかなか来ず、店員に確認したところ急いで焼いてきてくれた。するとそこで大竹さんは「みんな気をつけろ!急いで焼いたピザは熱いぞ!」と発言したというのです。中村さんはそのとき内心「急いでも急がなくてもピザは熱いよ……」と思ったそうで、この「あるある感」が本全体を貫いています。

「絶対評価」という夫婦の哲学

笑えるエピソードが並ぶ一方で、この本には中村さんならではの夫婦観も色濃く出ています。キーワードは「絶対評価」です。

「私も夫も誰と結婚しても同じようにけんかはするし、誰と結婚しても不満は出るんだろうなあ、と。だから、この不満は対あなたにじゃなくて、誰と結婚しても出る不満なんだよね、みたいなふうに思っている節はお互いあると思います」

これは深い言葉です。夫婦の不満を「この人だから出る不満」と捉えると、不満のたびにパートナー選びへの後悔につながりかねません。でも「誰と結婚しても出る不満」と考えれば、怒りは相手への攻撃ではなく、二人で乗り越えるべき課題になります。

「お互いによく話しているのは『誰と結婚しても不満が出るよね』ということ。すごく変わり者の夫に添い遂げられるのは、私だけだろうなって勝手に思っていますし、私も夫から見ればすごくだらしないので、こんな妻といられるのは自分だけって夫は思っているかもしれない」と中村さんは語っています。お互いに「この人しかいない」と思い込んでいる(あるいは本当にそうである)というのは、すごく健全な関係性ではないでしょうか。

ケンカしても仲直りしない、でも続いていく

毎日のように言い争い、どちらも謝らない。次のことをしないと生活が回らないので、次のアクションをしたら、その話題には触れない。という大竹家のルール(?)は、意外にも多くの夫婦に共感を呼びそうです。

「ちゃんと仲直りしなきゃ」と思い続けているうちに、疲弊してしまうことは多い。でも、この夫婦のようにお互いが言いたいことを言い合って、引きずらずに前に進む、というスタイルもひとつの「正解」なのかもしれません。

筆者なんかは、夫婦喧嘩をすれば、わざと先に謝りますけど。心の中では「悪いのはそっちじゃないの」と思いながら…。「ケンカしても仲直りしない、でも続いていく」というのは、いいね!

中村さんは、夫が子どもたちを溺愛している姿を見るのがすごく好きだと明かしています。「自分の大切なものを、夫もすごく大切にしてくれているという感覚。それがすごく好きなんです」というこの言葉に、夫婦の本質が凝縮されているように思います。日常の摩擦よりも大きな、根っこにある信頼。それがあるから、けんかをしても笑っていられる。

たちまち重版——多くの読者が共感した理由

この書籍はたちまち重版となり、発売記念にはおぎやはぎ・小木博明さんやタレント・藤本美貴さんとの対談企画も話題を呼びました。それだけ多くの人がこの本に「自分たちのこと」を見出したのでしょう。

「うちの夫も同じだ」「私も同じようなことで悩んでいた」——そういう共感がこの本の力です。有名なカップルの話でありながら、等身大の、リアルな夫婦の話としても読める。それは中村さんが、飾らずに自分たちの日常を書いているからに違いありません。

夫婦はさまざま、だから面白い

読み終えて思うのは、「夫婦に正解はない」ということです。家事は半々でなければならない、けんかをしたらきちんと謝り合わなければならない——そんな「あるべき夫婦像」に縛られていると、うまくいっている夫婦の形が見えなくなってしまいます。

大竹家は、はたから見れば「昭和型」の家事分担で、けんかも絶えない。でも二人は結婚15年以上、男の子三人を育てながら、毎日笑っています。「ケンカばっかりしている2人がこんなに楽しく過ごせるんだ、結婚ってもしかしたらいいのかもな、と思ってもらえるかもしれない」という中村さんの言葉が、この本のすべてを表しているかもしれません。

まとめ

本日は一冊の本を取り上げました。結婚している人も、これから結婚を考えている人も、男性にも女性にも。笑いながら、ちょっとだけ夫婦というものを深く考えさせてくれる一冊です。

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